約 198,073 件
https://w.atwiki.jp/moematome/pages/642.html
名前 カメックス(デフォルト名) 種族 (ゼニガメ→)カメール→カメックス(話) 性別 ♂ マスター サトシ(ぽっけぽけの人)→アヤカ→野生 うp主 ぽっけぽけの人 サトシとカメックスの息子であり、元ゼニガメことアヤカの弟。 第三部で、姉のパートナーとして彼女の旅に同行する。 えびそばに負けたことでヒロユキを救えないと悲観してばかりの姉を叱咤。 パーティを離脱し、一人で帰省することを決める。 うだうだと悩み続ける姉を見かねてのことだったが、姉には伝わらなかったようで大げんかに発展してしまった。 後に萌えもんタワーでヒロユキ達と対峙した際に再登場。 カメックスに進化していて、『仮面ライダーカブト』の「矢車想/仮面ライダーキックホッパー」のようにやさぐれた姿で再登場。 ヒロユキ達を圧倒するが、蘭宮の猛攻に耐え切れず基地に連行されてしまった。
https://w.atwiki.jp/mangaroyale/pages/268.html
弟(中編) ◆WXWUmT8KJE □ 「あそこに、村雨さんがいるのね」 「ええ」 ハヤテたちはS1駅を降り、神社の階段を前にして立っていた。 本来なら、ジョセフを待ち、村雨の元へと向かう予定だったのだが、それを無視して二人はここにいる。 理由は…… 「一刻も早く、村雨さんにこれを渡さないと……ごめんなさい、ジョセフさん。 でも、仲間になった村雨さんと一緒に迎えに行きますから」 「一応、書置き残してきたから大丈夫よ」 さっぱりとした様子でヒナギクが告げ、階段を昇る。 ハヤテは慌てて後に続く。 「それに……つかさのお姉さんがいるなら、あってみたいじゃない。 ハヤテくんの言うとおりなら、あの三村って奴が言っていたように、殺し合いに乗ってないみたいだし」 つかさの名を出した瞬間、ヒナギクは痛みに耐えるかのように表情を歪める。 かがみに辛い知らせを届けなければならないことと、つかさとの思い出が蘇って喪失感が強調されたことが同時に襲ってきたのだ。 それを振り払うかのように、ヒナギクは階段を昇る速さを上げる。 こつこつと足音をたてて昇っていると、階段の中ごろに倒れている黒いカバンを発見する。 いったいあのカバンはなんだろうか?と、ヒナギクが疑問を浮かべるが、答えはすぐ後ろからやってきた。 「零さん!」 『おお! ハヤテよ!』 あれが零か。ヒナギクは始めてみる強化外骨格のカバン状態に、僅かに驚いた。 時間は少し遡る。 怒りに燃える零は、神社の様子が気になってしょうがなかった。 あの婦女子は無事だろうか? 悪鬼となった村雨に暴行をされていないだろうか? 業火のごとくの怒りが零に駆け巡る。村雨自身を弄んだ、BADANと変わらぬ所業。 零にとって村雨はもう許せぬ相手となっている。 (とはいえ、どうしたものか) 零が思考を村雨への怒りから、これから来るであろう正義の仲間のことへと移る。 たとえ正義に燃える戦士が何人揃おうとも、首輪が行動を抑制している。 あの雷雲に突っ込もうにも、どうしようもない理由の一つである。 逆に首輪さえどうにかすれば、逆転は容易くなる。 零は参加者の首にはまっている首輪の外装を回想する。 繋ぎ目すら見当たらない首輪は一見解除が不可能にも思える。 しかし、一つ、二つ首輪のサンプルがあり、分解して零が解析することさえできれば、参加者の首輪を外すことも可能だ。 そして、予想される首輪の機能は、 1・生死の判定。 2・禁止エリアの察知。 3・主催者による遠隔装置。 4・盗聴器。 5・能力の制限装置。 1~4は比較的、零の知る技術力でも可能だ。 それに、今までは首輪を考察する機会を逃して考えもしなかったが、主催者が参加者を管理しないはずがない。 ハヤテに伝えてなかったのは迂闊だと思った。BADANに近いハヤテを警戒するのは、主催者側からすれば当然だ。 とにかく、首輪を分解し、情報が筒抜けな状態と、命を握られている状況から仲間を救わねばならない。 問題は、5だ。正直、零にはどのようにして多種多様な参加者の力を、BADANの都合のいい状態にしているか、皆目検討もつかない。 村雨からヒントを得られるのかとも思ったが、村雨はそんな能力は持ち合わせてはいない。 (つまり、5を解くことが、我々の急務だ。そのからくりが、首輪の解除に繋がるかもしれないという、曖昧なものだが、追求して損は無かろう) まずは首輪を解体する手段を手に入れなければ。零がそう考えている中、誰かが近寄る気配を感知する。 数は二。階段を上がっていくたびに、誰であるか零は分かり、不気味なドクロの顔を喜びの感情で満たす。 「零さん!」 『おお! ハヤテよ!』 零とハヤテ、早い再会であった。 「これが……覚悟くんの言っていた零?」 『おお! 覚悟と出会っていたか! して、奴はどこに!?』 「覚悟さんは、仲間を救いに向かいました。ここは僕に任せる。そう言って」 『む! それはいささか仕方ないが……ハヤテだけではあの悪鬼、村雨を退治することは……』 零の言葉が最後にまで告げられる前に、ヒナギクの蹴りが叩き込まれた。 神速の蹴りに、零は微塵も揺らがず、逆にヒナギクは反動で来た痛みに足を抱えた。 『な、何をするか! 我々は超鋼で出来た身体。蹴ればお主の足がひとたまりも……』 「……しなさいよ」 ヒナギクから立ち上る、黒いオーラにハヤテは思わず後ろに退く。 本気で怒っているときのヒナギクであることに気づいたからだ。 「訂正しなさいよ! 本郷さんの仲間を、悪鬼といったことを!!」 『あの者がしでかしたことを知らぬから、そういえるのだ!』 「村雨さんは記憶がないから、少し間違えちゃっただけじゃない! きっと、記憶さえ戻れば、本郷さんみたいに……正義の味方として…………戦って……つかさの仇も……」 最後は嗚咽交じりのヒナギクを前に、零は焦る。 婦女子を泣かせることは、零の本意でないためだ。 『だとしてもだ、あやつの記憶を取り戻す手段がないことには……』 「零さん、ありますよ。村雨さんの記憶」 ハヤテが告げた瞬間、零は数秒沈黙する。 おそらく、人間なら物凄く驚いた表情をしているのだろう。 『ど、どこにあるのだ!?』 「これよ! 目を見開いて、よく見なさい!」 「目はないんですけどね」 ヒナギクはキューブを零に突き出したまま、怒りを交えた視線でハヤテをねめつけ、ハヤテがビクッと反応する。 屁理屈で和ませようとした作戦は、失敗に終わったようだ。 『むう、たしかに未知の物質だが……』 「本郷さんが言っていたもの。たしかよ」 自信満々に告げるヒナギクに、本郷がどれほどの人物だったか、読み取る。 ハヤテはヒナギクの人物を見る目を信頼している。 それに、村雨の仲間だといったのだ。ハヤテが信頼しないはずがない。 ハヤテは零を掴み、階段を上ろうとする。ズシッと重さがのしかかり、思わず手放しそうになった。 (よく村雨さんは軽々と持てたな) 『ハヤテ、無理はしていないか? 我々は九十キロあるぞ』 「だ、大丈夫ですよ。これくらい。さあ、早く村雨さんに記憶を取り戻させてあげないと」 そうハヤテが力を込めたときだった。 村雨の、叫び声が響いてきたのは。 □ 「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 村雨は助けを求めるように、虚空に手を突き出す。 頭痛から逃れるように、胸の痛みから逃げるように。 だが、痛みは構わず村雨の全てを蹂躙する。 逃れられない苦痛。しかも、外部から襲うような痛みでなく、内側から湧き上がるような痛みだ。 身が引き裂かれる。助けてくれ。 救いを求めた手は、誰かが握ることを期待した右手は、誰も握ることがなかった。いや、握ることはないはずだった。 村雨の手が、温もりに包まれる。 体温が、手から伝わり身体に広がる。懐かしい感覚。 (いつか、同じことがあったはず。いつか? それはいったい、いつの記憶――――?) 「大丈夫だから……安心して」 この声は聞き覚えがある。ジョセフをおびき寄せるために連れてきた、柊かがみの声。 その声が、懐かしい声色と重なって―――― 苦しむ村雨を前に、かがみが取った行動はとりあえず、手を握ること。 なぜかは分からない。それでも、苦しむ村雨を放っておけなかったのだ。 (ジョジョが知ったら、呆れるだろうな) そう思いつつも、村雨を宥め続ける。 今の村雨の長身は、まるで子供のように小さく見えた。 やがて、村雨の震えがだんだん収まってくる。逃げれなくなるかもしれないのに、何をやっているんだろうとも思ったが、後悔はしていない。 なんとなく、こいつは悪い奴じゃない。 その想いが、ジョセフと戦って欲しくないという欲求を強くしていった。 「……ねえ、大丈夫」 声をかけても、村雨は頭を振るうだけ。 仕方なく、そのままの姿勢でいてやる。 (まあ、しょうがないよね) 内心そう呟いた彼女の耳に、階段を駆け上ってくる足音が聞こえてきた。 慌てて手を振り解こうとするが、間に合わない。 「村雨さん! いったい、何が……」 結局、かがみはうずくまる村雨の手を握るという、微妙に見られたくない姿を見られてしまった。 ヒナギクは、かがみの姿を見た瞬間、思わずつかさ、と小さく呟いてしまった。 やはり、双子だからだろうか。まとう雰囲気は違うが、姿形は似ている。 「これは……」 「か、勘違いしないでよ! 急に苦しんだから、放って置けなく……」 「ハヤテ…………」 慌てて釈明するかがみを無視して、村雨はゆらりと幽鬼のごとく立ち上がる。 その瞳に、ハヤテを映して。 「村雨さん……?」 「ちょうどいいところに来た……。俺と、戦え!!」 村雨が叫んだ瞬間、その身体がZXへと変わる。 まるで、痛みを振り払うかのように。 「あんた、やめなさいよ!」 「そうよ。村雨さんが、戦う理由は……」 「頭が、痛む。この痛み、戦って忘れるしかない! 戦いこそが、俺に記憶を与える! 戦いこそが、俺に安息をくれる! だから戦え! ハヤテ!!」 渇望するかのように叫ぶZX。その姿に、ヒナギクは僅かな落胆を見せる。 だが、そんな状況にも構わず、ハヤテは一歩前に出た。 「いいですよ。やりましょう。村雨さん」 「ハヤテくん!!」 ヒナギクが非難の意味を込めて名前を呼ぶが、今度はハヤテが黒いオーラを纏っていた。 『ハヤテ……?』 「みんな、大変な時に何をやっているんですか。 かがみさんに危害を加えていないと信頼はしていましたが、心配して来てみれば……戦え? いいですよ、村雨さん。一発殴って、絶対このキューブをはめて、記憶を取り戻させます!」 パンと、左手の平に右拳を叩き込みながら、血管を額に浮かばせ、ZXの前に出る。 核鉄を持ったまま、ハヤテは叫んだ。 「武装錬金!!」 六角形の金属片が内部の機械を剥き出しにしながら、右篭手の武装錬金を再構成する。 右手にピーキーガリバーを構えたハヤテは恐れも見せずにZXと対峙した。 「やめなさい! ハヤテくん。村雨さんはきっと、本郷さん並に……」 「強くないですよ。なんせ、アーカードを逃がしたんですからね」 「!! ハヤテ、キサマァァァ!!」 ZXが地面を蹴り、ハヤテに突進する。そのまま拳は石畳を砕き、粉塵が舞い上がる。 「ハヤテくん!」 「いやぁぁぁぁぁぁ!!」 絹を裂くような叫び声があがる。 しかし、ハヤテの無残な姿はそこにはなかった。 と、思った瞬間、ZXが右腕を振るって銃弾を弾く。 ZXの右側にいるだろうか?と思い、視線を移動すると、左手だけがおみくじを巻きつける紐を伝って存在していた。 「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 ハヤテの叫び声と共に、ZXの右脇に上半身のみで現れ、切った紐の上を移動しながら巨大化する右拳を振る。 奇襲じみた攻撃をZXの身体に叩き込むのが成功し、狛犬のところまで吹っ飛ばす。 「くっ……」 「どうしました? 僕のスタンドの力、忘れたわけじゃないですよね?」 ZXは無言で立ち上がる。 ハヤテと睨み合い、やがてお互いを目指して駆けていく。 ZXの拳とピーキーガリバーが激突し、空気を震わせた。 □ S3駅を探索していたラオウは、ここにはケンシロウはいないと悟り、更に北上していく。 黒王号があれば、楽にケンシロウを探し出せるかもしれないのにとも思うが、ふっと笑って頭を振る。 焦ることはない。ただ、己が信じる道を進めばいいのだ。 それは覇道。それは天への道。 遮るものは、全て破壊する。たとえ、最愛の弟トキであっても。 駅沿いの北上する中、石造りの階段を発見する。地図を堪忍して照らし合わせれば、神社があるのだろう。 神や神聖なものなど、拳王には興味はない。 しかし、その耳に、戦闘音を捉えたのだ。 (ケンシロウがいるのかもしれない) そう思い、階段を一歩昇る。激闘音は激しい。 たとえ、ケンシロウでなくても、そうとうの強者が待っている可能性がある。 獰猛な笑みを浮かべて、ラオウは再度階段を踏む。 (上にいるのは覚悟か勇次郎か……いずれにしても、愛を否定する相手として、不足はない!) ラオウは天。神を恐れず、ひたすら昇る。 □ ZXの攻撃を紙一重でかわしつつ、ピーキーガリバーと454カスールで牽制をして距離を一定に保つ。 最初ZXに奇襲を仕掛けて、成功したのは幸運だった。 死人を貶めるのは心が痛んだが、わざと頭に血が昇るように挑発して、一撃を決めたのはZXの戦闘能力をよく知っていたからだ。 まともにやっては敵わない。たとえ、神社におみくじを巻きつける紐を切って、境内中に張り巡らして、地の利がハヤテにあり、痛みでZXの動きのキレが悪くても、圧倒的にハヤテが不利に違いなかった。 伊達にアーカードとの戦いで背中を預けたわけじゃない。 だからこそ、ハヤテは慎重に動き、かつ攻撃的になる。 一撃でももらえば、ハヤテの負けは確定しているからだ。 正直、記憶のことを話せばZXを倒す必要などないのだろう。 だが、このままでは零と、ハヤテと、かがみの間にしこりが残る。 ジョセフは記憶を取り戻したときにどうにかすることにして、まずは目の前で今のZXが間違っていることを示す。 負けたくない。負けられない。 男の意地がハヤテを駆り立てる。 「おぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉっっ!!」 ZXの拳を避けきれず、ピーキーガリバーで防御する。 衝撃がハヤテの身体を駆け巡り、身体が浮く。ZXはその隙を見計らって、追撃をかけてくる。 しかし、ハヤテも考えもなしに拳を受けていたわけではない。 左手の454カスールが火を吹いて、ZXの身体を跳ねる。 ZXが痛みに呻き、動きを鈍るのを確認して紐を握る。 本来なら、ZXの身体は銃弾を弾くほどの強度を持つ。 今回、銃弾でダメージを受けた理由は、最初にハヤテが拳を打ち込んだ場所に銃弾が命中したからだ。 いつか、アーカードが霞を纏う散に使った戦法。 もちろん、ハヤテが、ZXがそれを知ることは永久にないのだが。 バラバラになって逃げるハヤテに、ZXは舌打ちをする。 単純だが、パワーのある武装錬金、ピーキーガリバー。 力は無いが、条件さえ揃えばトリッキーで先の読めないスタンド『オー! ロンサム・ミー』。 そして、使い手は綾崎ハヤテ。 ZXや多くの参加者に比べ、それなりにしか修羅場に慣れていない彼がここまで戦えるのは、三度も戦闘経験を積んだのが大きい。 しかも、戦ってきた相手は刃牙、ガモン、アーカードといまだに生きているのが不思議なくらい、強者揃いだ。 そして、ZXが背中を預けようと判断したほどの、頭の回転の早さ。 相性が良すぎた。戦う相手としては不足ないほど。 ただ、並みの人間の防御力しかないのが惜しい。 ZXの攻撃を一撃でも受ければ、ハヤテは終わりだ。 多少冷えてきた頭で計算を導き出し、肩より霧を吹き出して己が虚像を三人作る。 「無駄ですよ、村雨さん。僕は分身の術に対抗する技を編み出しました」 「ほう……見せてみろ」 「ええ! こいつが、僕の分身破りです!」 ハヤテが告げると同時に、右手のピーキーガリバーが巨大化していく。 それのどこが、分身を破ることに繋がるのだろうか? ZXは疑問を持つ。 「くらえ! まとめて叩き潰す!!」 そのまま、ハヤテは巨大な手の平を振り下ろした。 まるで蝿叩きのように、三人のZXが潰される。 「まとめて潰せば、分身なんて意味がない!」 「…………真面目にやれ」 分身にハヤテが気を取られている隙に、ZXは後ろに回りこんでいた。 ハッとして後ろを振り向くハヤテへと、回し蹴りを放つ。 とっさにマトリックス風にのけぞったハヤテの前髪を数本千切り、退こうとするハヤテに追撃をかける。 一度捕まえたからには逃がさない。紐を掴む隙も与えない。 ZXはそう思考しながら地面を蹴る。ハヤテの顔に焦燥の色が浮かんできた。 ZXの拳の連打が、巨大化して盾になっているピーキーガリバーにヒビを作る。 拳の衝撃を足を踏ん張ってこらえるハヤテだが、ついに身体が浮いて、吹き飛ばされた。 地面に叩きつけられ、転がっていくハヤテを冷たい目で見つめるZXに声がかかる。 「もうやめて! これ以上、ハヤテくんとあなたが戦う必要はないでしょ!!」 「そうよ、あんた、その子と仲間だったんでしょ? もう戦う必要なんて……」 ヒナギクとかがみの声を受け、ZXの動きが止まる。 たしかに、これ以上痛めつけてもしょうがない。もともとハヤテを殺すつもりはなかった。 適当に拘束して、ジョセフが来るのを待てばいい。 だが、ハヤテは震える身体に活を入れて、立ち上がってくる。 「勝手に……ギブアップさせないでください……」 ハヤテの目は死んでいない。ZXは不思議に思う。 「ハヤテ、一体何が、お前をそこまで駆り立てる?」 「色々ありますよ。全部説明するのが面倒なくらい。ですが……そうですね。まとめると……」 ハヤテの瞳に宿る炎が、ZXを射抜く。 理不尽に抗う者だけがもてる、正義の炎。 いつか戦った、仮面ライダー1号の赤い瞳を思い出す。 「僕の身体はあなたには敵わない。だからせめて、『魂』だけはあなたに負けないと、証明します」 その言葉にZXは呆気にとられる。 なぜ、ここまで自分に気をかけてくれるのか、疑問が絶えない。 急に頭痛が、胸の痛みが蘇ってきた。 「さあ、いきますよ! 村雨さん!」 「クッ……」 再び、ZXとハヤテが交差する。 『魂』の激突。神を祭る神社に、気高き魂と空っぽを抱える魂の奏でる音が響いた。 「凄い……ハヤテくん、いつの間に……」 ヒナギクはZXと渡り合うハヤテの姿に、素直に驚いていた。 ラオウやアンデルセンに大してなす術も無かった自分と違って、ちゃんと戦えている。 身体をバラバラにする妙な能力や、核鉄を持っているが、それだけで戦えないことをヒナギクは知っている。 ZXは決して弱くはない。むしろ、覚悟やラオウ、本郷に負けないくらいの戦闘力を持つ。 なのにだ。ハヤテはまるで歴戦の戦士のように、ZXを翻弄していた。 『三度、戦闘を経験したことが幸いしたな。良の体調が万全でないことも味方しているが……あの二人……』 「まるで、兄弟喧嘩みたいよね。なんか、微笑ましい」 ヒナギクと零の傍でかがみが少しだけ笑みを浮かべて告げる。 『……無事か? 少女よ』 「喋るカバン……。あの人、約束は守る人みたい。実際、何もしてこなかったし」 『なら、あの悲鳴は?』 「き、気にしないでよ。ただの勘違いだから」 あーとか、うーとか呻くかがみを、ヒナギクは見つめる。 やはり、つかさと似てはいるが、別人だ。 悲しみがヒナギクの胸に満ちて、かがみから眼を逸らす。 そのヒナギクを、かがみは恥ずかしそうに見る。 「す、好きでこんな格好しているんじゃないからね! それに、私は……」 「そ、そんなつもりじゃないの。柊かがみさん……よね?」 「え? うん。何で私の名前を知っているの?」 「後で……そのことを話していい? 私は桂ヒナギク」 「いいけど……桂……」 「どうしたの?」 「ううん。気にしないで」 二人がそれぞれ、死人に思いを馳せて、再び激突する二人を見つめる。 轟音が響き、地面が揺れた。一人が立ち、一人が地に伏せている。 勝ったのは………… ZXは銃弾を叩き落しながら、バラバラになったハヤテを追う。 目標が分けられ混乱するような状況だが、冷静に見つめれば、最後には全部の身体のパーツを一つにしなければならないという特質上、身体の重要部分さえ追えば対処は可能だ。 事実、ハヤテに攻撃がかするようになってきた。 とはいえ、埒が明かない。ZXは勝負に出る。 「トゥ!!」 ZXは跳躍して、ハヤテへと目掛けて落下する。 「ゼクロスパァンチ!!」 拳は石畳を砕き、地面が隆起する。ハヤテは土砂を被り、視界が遮られる。紐がある境内と、ハヤテを断って逃げ道をなくす。 紐のある後方へハヤテは跳ぼうとして、そうはさせるかとZXはマイクロチェーンで紐を切る。 ハヤテに逃げ道はない。後は土砂に埋まり、ZXが捕らえるだけ。 そのはずだった。 「まだ、逃げ道はある!」 「なに!?」 ハヤテは迷いなく、マイクロチェーンを掴み、その上を移動してくる。 高圧電流を流せることを知ってなお、ハヤテはマイクロチェーンを移動してきた。 馬鹿だと思い、死なない程度の電流を流そうしたZXの脳裏に、一瞬だけ電流で焼かれる女性の姿が映る。 顔は分からず、ただただ電気椅子で苦痛を受ける女性。 苦しむ女性の姿を見て、ZXの頭痛が増し、身体が硬直する。 そのZXに、 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 ハヤテの『魂』のこもった拳が、直撃する。 ZXの身体が神速の勢いで吹き飛び、地面を抉った。 肩で息をするハヤテが、まだ地面に伏している村雨に近付く。 変身は解いており、黒髪パーマの青年となった村雨は起き上がる気にもならなかった。 「……なぜ、マイクロチェーンを掴んだ?」 「信じていました。村雨さんは、僕を殺すために電撃を流さないって」 「…………馬鹿だ。お前は」 馬鹿といわれて落ち込むハヤテに、村雨は脱力したまま告げる。 「ハヤテ。お前の勝ちだ」 え?と戸惑うハヤテに、村雨はため息を吐いて上半身を起こす。 さすがに、二度も口にするのは悔しい。いつの間にか、村雨は『悔しい』という感情を取り戻していた。 そして、取り戻したのはそれだけではない。 「もう一度いう。ハヤテ、お前の勝ちだ。姉さんがいたことも思い出せた。負けて悔いはない」 「僕の……勝ち……。ってか、記憶ぅぅ!!」 「……いたということしか分からない。それだけだが、たしかに思い出した」 「よかったぁ。そのお姉さんがどうなったか、思い出せますよ。記憶を持ってきたんですから」 相変わらず、他人のことを心配するお人好しだと思った。しかも、記憶を持ってきているなど。 頭痛やハヤテと戦うことに関心がいっていたため、最初のハヤテの宣言を本気に聞いていなかったとぼんやりと考える。 共にきた少女にハヤテは声をかけている。おそらく、村雨の記憶に関連する道具をあの少女は持っているのだろう。 自分の拠り所が得れることに安堵するが、以前のような執着がない。 なぜだろうか? 村雨は知らないが、かがみと出会い、姉のキーワードを得て、記憶を取り戻すことに恐怖しているのだ。 その記憶は、村雨本人が忌避するもの。しかし、それを今の村雨が知ることはない。 そのことに疑問を持つ村雨は、いち早く異変に気づいた。 「ハヤテ……何か来るぞ!」 『……良の言うとおりだ。こやつ……』 村雨の言葉に零が同意し、階段の方向を全員が見つめる。 やがて、姿を見せたのは…… 「!? あれは……本郷さんを殺した!?」 ヒナギクの怒りの声が、相手に向けられる。 筋骨隆々の巨体。金の短髪。 溢れる闘気は居合わせたもの全てを威圧する。 天の道を目指す覇王。拳王が姿を見せた。 後編
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1422.html
「徳川か、真田?」 就寝前の一服をしながら、政宗は小十郎を見上げた。吊り書きを持った小十郎は政宗の前に座る。 政宗は脇息にしなだれ掛かり、煙を天井に向けて吐き出す。煙は丸い形を作るがすぐに消えた。 「はい。縁談は今のところこの二つあります。近隣を抑えるという意味では、 越後の上杉や関東の北条という手もございますが」 「上杉に嫁いだら、あのdynamite bodyのくのいち相手に毎日嫌がらせの応酬だな。 毎日毒だ罠だ動物の死骸だ、てーのはさすがに勘弁してほしいぜ。ああいうのは、 たまにやるからいいんだ。……つーかさ、上杉ってmanなのか? womanって噂もあるぜ?」 「さあ、そこまでは。……関東は如何ですか」 「俺に領地を譲るって遺言残して、初夜の夜に死んでくれるって約束をしてくれたら考えてもいい」 小十郎は思わず笑ったが、すぐに真顔に戻って真田と徳川の吊り書きを政宗に渡した。 「俺は真田を推薦致します。次男ですから婿として迎えるのに問題はないですし」 「俺を手元に置きたいか?」 「――そうですね。お子をお育てしとう存じます」 まだ火の残った煙草を、政宗は煙草盆に捨てた。煙管を盆に打ち付ける甲高い音がやけに 響く。斜に構え、小十郎を至近距離で見下ろす。 がたがたと窓が鳴る。また雪が降っているのだろう。空気がしんとしている。 ぱん、と頬をはたいた。小十郎は顔を僅かにゆがめるが、すぐに元の表情に戻った。 「だからお前は、いつまで経っても莫迦なんだ」 髪をつかんで顔を上に向かせた。吊り書きをばたばたと小十郎の耳元で鳴らす。 小さい頃からずっと見守ってきた癖に。 大事があれば一番に駆け付け、何か頼めば一番に持ってきた。ずっと傍にいると約束した。 愚直なまでに傍にあり続けた男に、惹かれない訳がない。 ――何故、それに気づかない。 「真田に、徳川に、俺のこんな肌を見せられると思うのか? 一瞬でもあいつらが 驚かないと思うか? あいつらには、俺の全部は晒せない」 「そのような弱気なことを申されるな。真田も徳川も、大事なご友人であり、 宿敵なのでしょう? 驚きこそすれ、悪く言うとは思えませぬが」 力の限り吊り書きを投げつける。政宗は肩で息をしながら、小十郎が吊り書きを拾い、 座り直すのを眺めた。 「だからお前は莫迦なんだ! なんでこんな簡単なことも分からない!」 怒鳴り散らし、すぐに自己嫌悪に襲われる。手で顔を隠し、項垂れる。 首を振り、ため息をつく。 何故お前しか信じないか。何故お前の入れた飴湯しか飲まないか。何故いつも用を命じるのか。 少しは考えてくれ。 「……下がれ」 低く声を出す。呼吸を落ち着かせ、顔を上げた。 小十郎はすぐ傍で控えている。下がろうとしない。吊り書きは傍らに置かれている。 「下がれっつってんのが分からねぇか!」 脇息に拳を叩きつけた。埃が舞う。 小十郎は衣擦れの音を立てて立ち上がる。背が高く、腰がしっかりしている。首も太い。 大きい。しゅ、と畳を擦る微かな音を立てて近づいてくる様子に震えてしまう。 「……その耳は飾りか。下がれっつってるんだよ! お前の顔なんざ見たくねぇ!」 「政宗様」 傍に、顔が来た。笑っている。 「何なりと、お命じください。俺は、命じられないと何もできないんですよ」 手を伸ばしても拒まれないことは知っている。襟を握り締めて胸に顔を寄せた。 腕が背中に回る。慈しむように背を撫でられる。大きな手はくわえると ゴボウみたいな味がすることを知っている。だから政宗はゴボウをあまり噛まない。 「傍にいろ。ずっと俺の傍にいろ。俺は嫁になんか行かねぇし、婿も取らねぇ」 「それは困りました。行かず後家とは、伊達の名折れとなりましょう」 「笑いたいヤツは笑わせろ。罵りたいヤツは罵ればいい。嫁がない理由なんて、 あばたで十分だ。……真田とはrivalでいてぇし、徳川とはally(同盟国)の君主同士でいたい。 正室とか、妻とか……そんなのになりたくねぇ」 顔を上げて笑う。 「では、縁組は断りましょう」 「そうだ。俺はどこにも行かないし誰のものにもならない」 小十郎なら関係にヒビを入れずにうまく断るだろう。政宗が出て行くと間違いなく 戦争になる。余計な労力は使いたくない。 「小十郎。伽を命じる。――抱け」 挑むように笑いかける。小十郎は目を細め、幸せそうに頷いた。 あんたの奴隷のままでいい9
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1420.html
「何が取れた?」 「白菜とネギです。今宵は何がよろしいですか」 「それぐらいお前が考えろ」 「申し訳ありません」 「フン」 扇で肩を軽く叩きながら、政宗は背中を向けた。 無言で険悪な空気を撒き散らしながら歩いていく。 「いつき、野菜を厨房に持って行け。農具を片付ける場所は分かるな」 鎌を預けようとする小十郎を見上げた。預かろうとしないいつきを、小十郎は見ていない。 政宗の背を見つめ、そわそわしている。 「ねえちゃん、怒ってるべ。今ねえちゃんのところ言ったら、ぶたれるべ? ねえちゃん…… ほんとは、にいちゃんぶちたくねえべ」 「それでも俺は、政宗様のお傍に控えなくちゃいけねぇんだよ」 いつきはきゅっと唇を引き結んで鎌を預かった。ソリの上に置かずに腰に挿す。うっかり 野菜を傷つけたら、また政宗の機嫌を損ねてしまう。 小十郎は急いで政宗の傍に駆け寄った。政宗の手が伸びる。またぶたれる、といつきは目を閉じた。 が、頬を叩く乾いた音は聞こえてこない。恐る恐る右目、左目の順番で目を開け、二人を見る。 「手が冷えた。こんな手でお前をぶったら、俺の手が落ちちまう」 政宗は子供がそうするように小十郎の前に両手を差し出していた。小十郎はその手をそっと握り、 さすり始めた。 「俺を待っておられたのでしょう。すっかり冷え切ってますよ」 「べ、べつに。sweetなものが飲みたかったのに、お前がいねぇから探してたんだよ。 お前の入れた飴湯じゃねぇとまずくて飲めたもんじゃねぇし。すぐ書房に飴湯を持ってこい」 「畏まりました。生姜は如何いたしましょうか」 「たっぷり入れてくれ」 「――はい」 政宗の両の手を握り、小十郎はそっと政宗に向けて笑いかける。 その笑みが本当に幸せそうで、いつきは呆気にとられた顔で見つめてしまった。 基本的にはなんでも食べるし食べ物に対してはあまり文句を言わない政宗だが、 飲み物に関してはうるさかった。 飴湯とは水飴を湯で溶いただけのものであり、生姜や桂皮(シナモン)を 香り付けや体を温めるために入れることが多い。政宗は生姜を好んだ。 単純だからこそ、技量が問われる飲み物である。苦かったり桂皮の香りがきついときなど、 飴湯を湯呑みごとぶつけて怒鳴り散らす。 小十郎は飴湯を作って政宗に振舞った。書房で執務を執っていた政宗は、適当なところで 切り上げて小十郎と向き合う。 「如何でしょうか、政宗様」 「ん、うまい」 そういって顔を綻ばせる様子は、幼い頃から変わっていない。 「お前の飴湯を知っていると、他の飴湯は飲めないな」 政宗は小十郎を引き寄せてより掛かった。小十郎は手を伸ばして政宗の背を抱く。 「お寒うございますか。火鉢を用意いたしましょう」 「大丈夫だ。お前がいるからな」 「それはそれは。有難き幸せ」 「当たり前だ。俺が傍にいて、お前が不幸になる訳がない」 小十郎に背を預けたまま政宗は飴湯を啜る。舌をほんの少し刺激する生姜の汁は、 小十郎が丹念に育てたものだ。それを使った飴湯がまずくなる理由がない。 「いつきはどうだ。体の調子を崩してると聞いたが」 政宗の顔が引き締まる。小十郎は静かな調子でいつきの様子を報告する。 「慣れていないだけでしょう。小十郎が見る限り、深刻な病を患っているようには見えません」 「そうか。……一年で、仮名は覚えられそうか」 「恐らくは。ただ、読み書きは少し遅れてますね。もう十二ですから、五つやそこらの子供のように すらすらと覚えられません。算盤の方は順調だそうです。これで、米の出来高を算出しやすくなります」 「そうだな。……この話はここまでだ」 「はい」 小十郎は無言になる。政宗は飴湯を飲み干し、生姜と飴の混じった息を吐く。 飴湯の入っていた湯飲みを畳の上に置き、政宗は小十郎の逞しい腕を背中に回させる。 小十郎の着物を乱し、肌に直接顔を当てた。 沈黙が書房に満ちるが、息苦しさはない。 「少し寝る。人が来たら起こせ」 脚を折り畳み、政宗は小十郎に全体重を預けた。女とはいえ鍛え上げられた政宗の体は 見た目以上に重い。それでも小十郎の腕の中にいると政宗は小さく軽く見える。 幼い頃から、政宗の守り役として仕えた。肩書きが守り役から参謀と変わったが、 あの頃からある絆は変わっていない。 あんたの奴隷のままでいい7
https://w.atwiki.jp/yamakami/pages/19.html
弟一話 咎 愛知県へと続く森の中で二人の女性が話をしていた。 片方のセーラー服身に着けている女性は何やら嬉しそうに話をしている。 その話を聞く片方の女性は金髪の髪をなびかせ、結構露出の多い服を着ている。 「良かったです、ミサさんがゲームに乗っていなくて…」 セーラー服の女性…朝比奈みくるは嬉しそうに金髪の女性に話しかける 「私も最初はびっくりしたけどみくるちゃんがゲームに乗っていなくて良かったわ」 二人はここに跳ばされてすぐに出会った。 最初はみくるが最初に出会った参加者なのでミサを警戒したが、 ミサがゲームに乗る気は無いと、伝えるとみくるはすぐに警戒を解いた。 そして軽い自己紹介の後、とりあえず落ち着ける場所を探そうと言うミサの提案に従い、二人は現在地から一番近く大きな街のある愛知県へと歩いていた。 「ところでミサさんの支給品はなんでしたか?」 みくるは歩きながらミサに尋ねる。 「う~ん…。私はたいした物はなかったけど…みくるちゃんはどう?」 そう言われみくるはバッグから剣を取り出す。 「これなんですけど…私は剣なんて使えないんですよ。ミサさんは使えますか?」 「私も剣なんて使ったことないなあ…。その剣ちょっと見せてくれる?」 特に警戒もせずミサに剣を渡す。 「…テレビ収録で何度か、刀を見たことあるけどこんな剣見たことない…」 剣を受け取ったミサが感心したように言う。 その様子を見ていたみくるは何故か違和感を感じた。 (今、ミサさん笑った…?) 一瞬、ミサの顔が歪んだような気がした。 もう一度ミサを見るが特に変わった様子は無い。 (うん…きっと気のせいよ…) 疲れているんだ、早く街を探して休もう。 再び歩き始めようとしたときミサが声を出す。 「みくるちゃん…あれなんだろう?」 ミサが遠くを指さす。 「……?別になにも……」 ザクッ ミサが指さした方向を見た瞬間、みくるは背中に衝撃を感じた。 背中が熱い、背中から大量に血が流れているのがわかる。 「助けて…キョンくん…」 「まだ息があるのね。」 みくるの頭上から声がする。 「大丈夫よ、今、楽にしてあげるから」 剣がみくるの心臓めがけて突き刺された。 「ごめんね、みくるちゃん…私は月を守りたいの。」 ミサは絶命したみくるを見てつぶやく。 ミサの最愛の人物…夜神月。 このゲームは一人しか生き残れない… だから決めた、月以外の参加者を殺し、自分はそのあと死ぬ、そして月を生き残らせる… 自分は月のために人を殺す…それが自分の存在価値。そうミサは決めた。 月のことを愛しているから。 やがて咎人となった彼女はゆっくりと歩き出す。 愛する人を守るために。 全ての人を殺すために。 【長野県/朝】 【弥海砂】[MP残量:100%] [状態:正常] [装備:マスターソード@ゼルダの伝説] [道具:???・???・???←本人確認済み・荷物一式×2] [行動方針:参加者を殺し、月を生き残らせる] [思考1:月以外の参加者を全て殺しそのあとに自殺する] [思考2:愛知県に行く] [現在位置:長野県の南部] 【朝比奈みくる@ハルヒ 死亡】 備考:みくるの荷物はミサが持ち去りました。 みくるの死体は長野県に放置してあります。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1417.html
「にいちゃん、大丈夫だか。さっき、ぶたれたべ」 「大丈夫だ。元々お前を殴ろうとして振り上げられた手だ。大したことねぇ。 そら、無駄口叩いている暇があったら歩け」 「……あのねえちゃん、怖い人だべ。……だども」 「どうした」 「おら、うまく言えねぇ。違うかもしんねぇ。だども、おらがいなかったら、みんな暴れたりしねぇ。 それに、おらがいねぇ分、おらが食べる分だけ、みんな、助かるだ。……違うか?」 小十郎は目を細め、膝を落とした。ぽん、と軽くいつきの頭に手を乗せる。いつきは凶悪な面構えが 緩む様子を、世にも恐ろしいものを見るかのような目で見る。 「どうだろうな。政宗様は、厳しい方だ。気難しい性分でもある。けど、ただ無闇やたらと 横暴な方じゃない。――それだけだ」 「……ほんとは、優しい人なんだべ?」 「優しかったら、お前を人質にしない」 いつきはきゅっと唇を結んだ。小十郎から顔をそらし、先を歩く。ハンマーは奪われているため身は軽い。 「おら、牢屋に閉じ込められるだか」 「それは、お前の態度次第だ」 「ならいいだ」 小十郎は立ち上がって先を急ぐ。 「遅いぞ小十郎! ぐずぐずすんな!」 苛立った声が飛ぶ。いつきは小十郎の背中を追いかけるが追いきれずに転ぶ。 政宗は口を僅かに開けたがすぐに唇を引き結び、小十郎を叱責した。 「人質を連れてこないでどうする! だからてめぇはいつまでたってもダメなヤツなんだよ!」 小十郎をひっぱたく政宗は、いつきの目には鬼のように映った。 米沢城は、いつきにとって雲の上にある宮殿のような場所だった。 綺麗な女中や小姓。雪の中にあっても手入れの行き届いた庭。美しい調度品。絹の着物。 おいしそうな食事。遠慮はいらない、とたんと盛られた白米に、いつきは涙をこぼした。 食事と着物を与えられるだけでなく、政宗は読み書きや算盤を習うよう命じた。 「てめぇらが莫迦だから、てめぇらの世界は狭いんだ。少しは世界を知れ。そしたら、 莫迦なことをしたって分かるだろ」 そういって政宗は、いつきの前に自分が使っていた手習いの書や算盤を放り投げた。 「てめぇに新しいモンをやる筋合いはねぇ。俺のお古で十分だ」 「だども……これ、ねえちゃんが大切に使ってたもんだべ? こんな、大事なもん…… おらみたいな農民が、使ってええだか?」 「道具なんか、しまいこんだってしょうがねぇだろ。それに、これは小十郎が残してただけだ。 新しいものを買い与えるより安上がりってだけだ」 「あのにいちゃん、ねえちゃんの事を大切に思ってるだ。こんなに綺麗に残して……」 「HA! 当然だろ。俺は主君であいつは家臣だ。あいつは、俺が毒を作れと言えば毒を醸し、 効き目を見せろと言えば身を以って示す。俺が誰かに殺されたら、殺したヤツを地の果てまで 追いかけて仇を討ち、その後俺を追いかける。そういう……ヤツなんだよ」 政宗はくつくつと笑い、脇息に肘をついて足を崩した。 城の中であっても、政宗は男の装束を纏い、男のように振る舞う。 下手な男よりよほど男らしく、そしてお美しいというのが女中たちの政宗に対する評価であった。 たしかに為政者としても武将としても人一倍優れている。使用人を 怒鳴ったり手を上げたりしているのは見かけない。 どうやら政宗がきつく当たり、たまの小言を何倍にもして返すのは、小十郎一人だけのようだ。 「ねえちゃんも……にいちゃんが、大切だか?」 いつきが問いかけると、政宗は顔をゆがめた。白扇をいつきの元に投げつける。 閉じられた扇は矢のようにいつきの膝近くに飛び、いつきは肩を竦めた。 「何するだ!」 「過ぎた口を利くな! いいか、てめぇは俺がいいというまで口を利くな! 顔を上げるな! 作法も知らねぇのか!」 苛立ったような叱責に、いつきは口を噤んで顔を伏せた。政宗が軽い調子で投げて寄越した 帳面と算盤をきつく抱き締める。 何か、悪いことを聞いただろうか。 小十郎は政宗のことを敬い慕っている。ただの家臣と主君という間柄じゃないことぐらい すぐに分かった。 だから政宗も小十郎のことを大切に思っているのだと、もしかしたら恋心を持っていたり するんじゃないかと思っただけなのに。 何に苛立っているんだろう。 あんたの奴隷のままでいい4
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1426.html
濡れた音を立てて小十郎が中に入ってくる。傷つけることを許した唯一のもの。 硬くて熱くて、抱かれるたびに自分が女なんだと実感する。 「ん……んんっ……」 初めて抱かれたときより一層優しく抱いてくる。初めて抱かれたときは、 あまりの痛みに泣き叫んだ。途中でやめようとするのでそれに対して怒鳴り散らした。 女に俺にみっともない真似をさせるな。男なら最後までやれと居丈高に命じたが、 最後は痛みのあまり気を失った。 徐々に慣れてきて、いろんな真似ができるようになった。無茶をさせたこともある。 どんなことも、一度したら全部飽きた。唯一面白いと思うのが、縄や紐で縛りあうこと。 それ以外は少しも面白くない。 こうやって、気遣われながら抱かれ、一つに縛られるのが一番気持ちいい。 小十郎の男根に根元まで貫かれ、政宗は満足した笑みを零す。小十郎も恍惚とした笑みを浮かべ、 政宗の頭を両の腕で包み込んでくる。力の抜けた左手を動かして小十郎に答える。 「痛くはありませんか? 辛うございますか?」 こんな状態でも、小十郎は政宗を気遣う。 だからこの男は愚かなんだ。少しくらい自分本位で動けよ、莫迦。 「大丈夫だ。ほら、何してるんだよ。動け」 小十郎が形を整えた脚を持ち上げ、腰に絡める。小十郎は生真面目な返事を返し、律動を開始する。 右の手首が痛むのだろう。眉間にきつくシワが刻まれ、時々手を動かそうとしてはやめている。 同じ痛みを政宗も感じている。紐が擦れ、赤く跡がついているのが分かる。汗が滲んで跡を苛む。 同じ痛みを感じる恍惚は、痛みを与える以上の快感をもたらす。 胎内を小十郎にえぐられ、政宗は声を上げる。甘く聞こえるよう、なるべく気の抜けたような 柔らかな声にする。次第にそんなことは考えられなくなり、夢中で小十郎と絡ませた手を強くつかみ、 手の甲に爪を立てる。 限界が近づき、抜こうとしている小十郎の引き締まった腰に脚をきつく絡める。 何もかも、お前の勝手にはさせない。髪一筋、汗一滴(しずく)、魂の一欠けらまですべて。 自由になんかさせてやらない。 小十郎が苦しそうに顔をゆがめる。中に熱い奔流を感じる。政宗は絶頂を極めた声を上げた。 政宗は小十郎の胸に顔を寄せて眠りに落ちる。淡く微笑んでいるような表情は、 永遠に見つめていても飽きないだろう。 眠りに落ちたのを確かめてから腕を抜く。夜着の紐を外すと、縛った跡が赤く残っている。 しかしこの跡はすぐに消えてしまうだろう。 懐紙で拭って簡単に始末をしてから着物を着る。政宗の焚き染めている香が肌から香るが、 着物で無理やり閉じ込めた。 上掛けを引き上げてやり、行火を足元に入れる。 雪の夜は寒い。熱が、温もりが恋しい。けれど同じ褥で朝を迎えたことはない。 どれ程乱れ快楽に溺れても、それをしてはいけないと思っている。 恋人同士ではないのだから。 「……俺は、家臣なんですよ。政宗様」 政宗は主君だ。そして自分は家臣。同じ褥で同じ夢を見て、一緒に朝を迎えることはできない。 音を立てぬよう気遣いながら退室する。廊下も慎重に足を進め、角を曲ってから詰めていた息を吐いた。 風が吹き込み、肩を竦め顔を顰める。両手に息を吹きかけ、顔を上げた。与えられた居室へと足を向ける。 途中で伊達家臣の一人とすれ違うと、あからさまに顔を顰められた。髪の乱れで今宵のことに気づいたのだろう。 朝になれば政宗は真っ先に小十郎を呼ぶだろう。そして主の許しを得ずに退室するなと頬を張る。 それでいい。 政宗は常に気高く誇り高くあって、小十郎を見下ろせばいい。 対等な間柄など望まない。 幼い頃は、政宗は小十郎以外の人を恐れた。成長して世に出るようになり、片目であることや 疱瘡を患ったことで悩むことは少なくなった。友や宿敵と呼べる相手も見つかった。 それでも政宗は小十郎を頼る。胸倉をつかんで頬を張り、ぐずだ莫迦だ気が利かないと罵りながら、 お前の入れる飴湯しか飲まないと言って笑う。 あの笑顔を己の手の中に閉じ込められるのだ。これ以上の幸福など、望むべくもない。 あんたの奴隷のままでいい13
https://w.atwiki.jp/jososs/pages/140.html
弟は幼な妻 -1- よっ、久しぶり! 忙しいところ、わざわざ呼びだしてスマン。 だが、こんな事、お前くらいにしか相談できんからな。 礼代わりに、ここの支払いは俺が持つから、何でも好きなモノ注文してくれ。 さて、話を始める前一応、最初に言わせてくれ。 「俺は、断じてホモでもショタでもない!」 ……ないと思う。 ……ないんじゃない、かな? 三段活用的に自信がなくなっていくのには理由があって、近頃、気になってる(恋愛的な意味で)相手が、その……なんだ。 あ! おいおい、顔色を変えて席を立つなって! 勘違いするなよ、お前が対象なワケないだろう。 フゥ~、だが、幼馴染のお前が満更知らない相手でもないんだよ、コレが。 あ、思い当たるフシがあるって顔してるな。うん、たぶん、ソレ正解。 そう……よりにもよって、俺の大事な大事な弟の由理(よしのり)に、こんな感情を抱くようになっちまったんだよ! ──あれ? 何だ、お前、全然驚いてないな。むしろ「いまさらかよ」って言いたそうな顔して……あ、「まさにそう言うつもりだった」って? なんでだよ! そりゃあ、4年前、高校入った直後にウチの両親が事故で亡くなって以来、俺はあいつと二人、兄弟肩を寄せ合って暮らしてきたさ。そのなかで、俺が由理にやや過保護気味に大事にしてたことも、まぁ、認める。 そして、由理が、まだ中学2年生だってのに、掃除やら洗濯やら家の中のことを、高卒で働いてる俺に代わってキッチリやってくれる、とてもいい子だってのも、コトあるごとに吹聴してたさ。 だから、ブラコンの汚名はあえて受け入れよう。 けど! それはあくまで、弟に対する兄としての愛情だよ!! そうだよ、そのはずなのに……あの日以来、俺の脳裡に「あの光景」が焼きついて離れないんだ! え? 「あの光景って何か」って? ──ふぅ~。仕方ない。呼びだして相談に乗ってもらってる手前、言わないワケにはいかんだろうしな。 て言うか、大体お前にも責任の一端はあるんだぞ! 何、面食らった顔してるんだよ。 ほら、2年ほど前、俺がお前に相談したことがあっただろ。 由理のヤツが……その、母親の服を着て密かに女装してるみたいだ、って。 その時、お前は「まぁ、早くに母親を亡くして、家庭内に女性的な要素が乏しいぶん、それらを持ち出して代償行為で心の隙間を埋めてるんだろう。下手に騒ぎたてず、ソッとしといててやれ」って、アドバイスしただろう。 だから、俺も「そーゆうモンか」と不承不承納得して、見て見ぬフリを決め込んできた。 小学校卒業して以来、由理が髪の毛を伸ばしてるのにも、男女兼用っぽい……というか、明らかに女の子寄りの私服を買ってくるのにも、最近家ではコッソリ女物の下着を着てるらしいことにも、あえて何も言わなかったさ。 最初は驚いたけど、近頃は「まぁ、似合ってるからいいか」と海のように広い気持ちでスルーできるようになってたし。 ん? 何呆れた顔してんだ? 「極論過ぎ」? 「限度ってものがある」? ──まぁ、そう言われると、俺としても、ちょっと放任し過ぎたような気がしないでもない。 と、ともかく! 最近では弟というより妹に近い感覚を由理に対して抱くようにはなってたけど、それだってあくまで「兄」としての感情だったんだよ! なのに……クソッ! どうして、俺はあの夜、目を醒まして水を飲みに部屋を出ちまったんだ! ああ、お察しの通りさ。 あの晩、すでに寝てるだろう由理を起こさないように、忍び足で廊下を歩いていた俺は、由理の部屋から声が漏れてることに気付いちまったんだ。 もしかして、由理は悪い夢でも見てうなされてるのか!? ……そう思って、様子をうかがった俺のコトを誰も責められないだろ。 けど、部屋の中では……。 * * * しばらく見ないうちに由理の部屋は、パステルピンクの壁紙やカーテンでコーディネートされ、キャラクター物のクッションやぬいぐるみなども複数置かれた、まるっきり「年頃の女の子の部屋」そのものになっていた。 本棚に並べられた少女向け小説や少女マンガ、あるいはマガジンラックに綺麗にまとめられたティーン向けのファッション誌、さらに亡き母の寝室から移動させたらしい姿見などが、その雰囲気を助長している。 「ふぁン……お、お兄ちゃぁん!」 そして、その部屋の西側の隅、清潔そうな水色のシーツがかかったベッドの上で、寝間着姿の可憐な少女が、写真立てを手に、想い人の名を呼びつつ、オナニーに励んでいた。 ──いや、「少女」ではない。 背の半ばまで覆う綺麗な黒髪や華奢な手足、日焼けとは無縁そうな白い肌、何より校内美少女コンテストを開けばTOP10に入ること間違いなしの愛らしくも儚げな容貌の持ち主ではあったものの、ある部位が、誰が見ても美少女と言うであろう人物の性別を物語っていた。 うっすらと透ける素材でできた薄桃色のベビードールからのぞく細い肩も、白いニーハイソックスに覆われた形の良い太腿も、それに続くムッチリしたヒップと対照的にキュッと締まったウェストも、すべてが「彼女」の性別を「思春期の少女」だと告げているのに。 ただ1点、白と水色のストライプのショーツに覆われた「彼女」の股間の不自然な盛り上がりだけが、「彼女」が本当は「彼」であるという残酷な事実を証明していた。 「好きィ……好きなのぉ……」 けれど、その事実を誰よりも如実に知りながら、青年──「彼女」の兄であり、たった今、くるおしげに名を呼ばれた男性は、ドアの隙間から覗き見るその光景から目を離せなかった。 「くふぅン……切ないよぉ~」 今にも口づけんばかりに写真立て(おそらく青年の姿が写ったもの)に顔を近づけつつ、左手で自らの体の数少ない──ひょっとしたら唯一とも言ってよいかもしれない男の徴を、もどかしげに刺激するその姿は、とてつもなく淫らで……同時に真摯なものを感じさせる。 青年は、我知らず唾を飲み込みながら、その光景から目が離せなくなっていすた。 恋人を作る暇も、風俗店に通う金もなく、20歳前の若い性欲をもてあましているとは言え、どちらかと言うと青年は性的な欲求に淡白な方であった。 しかし、今、自らの名前を呼ぶ「少女」(困ったコトに、本来の性別を知っているにも関わらず、そうとしか思えない)が、自慰に没頭する姿は、これまでに悪友らに見せられた、どんなエロ本やアダルトビデオの類いよりも、青年の欲望を強く揺さぶった。 ──このまま此処で見ていたら、自分は取り返しのつかない行為(こと)をしてしまうのではないか? その懸念と躊躇いに押されて、何とか視線を部屋の中からもぎ離した青年は、当初の「水を飲む」という目的も果たさず自らの寝室にとって返し、ベッドに入って、すべてを忘れようとキツく目を閉じた。 ──無論、それは無駄な努力であり、悶々とした挙句、ようやく陥ちたその夜の夢の中で、青年は、「少女」の身体を思うままに貪り蹂躙することになるのだが。 -2- ──ヒィック! お~、すまんスマン。ちょっと急ピッチで飲み過ぎたな。 いやぁ、なんつーか、「酒! 飲まずにはいられないッ!!」て気分だったもんで。 え? 「その翌日はどうなったのか」? ……あ~、そうだな。ここまで相談に乗ってもらった以上、キッチリ話しておくべきだよな。 * * * 妹……もとい、弟である由理の"痴態"を目撃した夜の翌朝、当然のことながら兄である青年──安藤浩之は、睡眠不足の冴えない頭で目を覚ますハメになった。 「あんな夢」を見たため、朝起きた時、慌てて布団をめくってみたところ、幸いにして"液漏れ"はしていなかったのが救いだろう。これで、万が一、パンツの中がガビガビになっていたりしたら、ヘソを噛んで死にたい気分になったに違いない。 「おはよ、お兄ちゃん♪」 ボーッとした頭のまま、パジャマ姿で台所へと移動した浩之は、こちらはビックリする程清々しい雰囲気の(まぁ、理由は見当がつくが)由理の笑顔に迎えられた。 数年前から安藤家の台所(というか家事全般)を掌握している由理は、今朝も朝食の準備をしていてくれたらしい。 「お、おぅ、おはよう、由理。今日も早いな。日曜日くらいゆっくり寝てればいいのに」 ザックリとした白いセーターと、最近はもはや隠すこともなくなったスカート姿(今日はふくらはぎ丈のライトグレーの三段ティアードスカート)の上から、フリル満載のエプロンを着け、おたまを手にしたたその姿は、まさに"幼な妻"という形容がふさわしい。 艶やかなストレートロングの黒髪をきれいに梳かし、家事の邪魔にならないよう首の後ろでエプロンと同じ色合いのリボンで結んでいるのも、清楚で非常に似合っていた。 「うん。でも、お兄ちゃんには、手料理を食べて欲しいから……」 嗚呼、なんと健気なコなのだろう! これが本当に"妹"ならば、「今時珍しいほど、よくできた娘に育って、兄貴、感激!」で済む話なのだが、このプリティーガールの生物学的性別が♂であることが、浩之の心中に戸惑いと躊躇いと言い知れぬ感情を引き起こしてしまうのだ。 それでも、その頑張りを褒めてやりたくて、浩之は何とか言葉を探す。 「ああ、いつもありがとう──由理は将来いいお嫁さんになりそうだな」 口に出したときは違和感がなかったものの、次の瞬間、盛大な後悔に苛まれる。 (何、バカなこと言ってるんだ俺は!) 常識的に考えれば、男のコである由理が「お嫁さん」になる可能性なぞ、0に等しいはずなのだ。 しかし……。 「え、ホント!? 本当に、そう思う、お兄ちゃん?」 思いがけないほど真剣な目で由理にその言葉に食いつかれては、浩之としても「さっきのはちょっとしたジョークだ」と流すことができなくなる。 「あ、うん、まぁ、少なくとも、俺はそう思うぞ」 仕方なく、「あくまで一般的な評価ではなく、個人的な印象だよー」という方向に軌道修正して、何とかこの場をやり過ごそうとしたのだが……この場に限って言えば、コレはトンデモない悪手だった。 「お兄ちゃん……うれしぃよぉ(うるうる)」 いや、むしろクリティカル過ぎたと言うべきか。頬を赤らめ、情熱的な潤んだ目で極上の「美少女」に見つめられては、昨晩のこともあって、浩之も平静を装いきれない。 「あー、その、なんだ。きょ、今日の午後は何か予定があるか、由理?」 こういう場面に慣れていない悲しさで、とにかく新たな話題で、浩之は気まずい場面を乗り切ろうとする。 「え? あ、うん。お洗濯して、お庭とか玄関とかのお掃除したら、とくに何もないけど……」 唐突な話題転換に戸惑ったのか、「いや~んな雰囲気」が霧散する由理。 「だったら、久しぶりにふたりで出かけてみないか? 名波町にできたテーマパークの無料券を、会社の先輩にもらったんだが……」 「! いくッ、行きたい!!」 無邪気な笑顔になる由理を見て、浩之は「ああ、やっぱり、まだまだ子供だよな」とほのぼのした気分になった。 「よーし、じゃあ11時に出発だ。早く終わるように、掃除は俺も手伝うぞ」 「うん、それじゃあ、お兄ちゃんにはお風呂掃除、頼んでいい?」 「よしきた、任しとけ。ピカピカにしてやる」 おどけて腕まくりしつつ、内心「ウンウン、これが正しい、兄弟の休日の過ごし方だよな」と満足げに頷く浩之だったが……。 「ルンルンルン♪ おにーちゃんとおーでかけ、ゆーえんちデ~ト♪」 うれしそうに鼻歌を歌いながら、洗い物を始めた由理を見て愕然とする。 (し、しまった……もしかして、俺、墓穴を掘った?) 無論、シスコンもといブラコンな浩之に、「おでかけ」を中止するという選択肢は思いついても選べないのだった。 * * * ん? ああ、もちろん、その日はふたりで有栖川ファンシーランドに行ったぞ。 あんなに楽しみにしてる由理の期待を裏切るわけにはいかんだろーが。 外出時の由理の服装か? うーん、確か……水色のブラウスに白いアンゴラのカーディガンを羽織って、ボトムはちょっとAKBっぽい赤いチェックのミニスカートだった、かな? 足には薄手の黒いストッキングを履いて、靴はスエードのロングブーツだったな。結構ヒールがあるのに綺麗な足取りで歩いてるから、ちょっと感心した覚えがある。 髪型は、いつもみたく下ろして自然に流しつつ、前髪には白いレース飾りのあるカチューシャをはめてたな。由理のキューティクルつやつやの黒髪との対比で、よく似合ってたぞ。 いまにして思えば、うっすらとだけど化粧もしてたのかもな。唇がいつもより鮮やかな桜色だった気がするし……。 え? 「なんでそんな細かいトコロまで気が付いたのか」? そりゃ、お前……えーと、なんでだろう。 い、いや違うぞ! 断じて「唇柔らかそーだなー」とか「アレにキスしたらどんな感触なんだろーなぁ」とか思って、凝視してたワケじゃないんだからな! -3- ああ、ファンシーランドに行ったあとの話か? そりゃ、お前、フツーにデートしたに決まってるだろ。 「デートの相手が弟という時点で普通じゃない」? ご、ごもっとも。 そ、それはともかく! まぁ、なんだ。その名の通りどれもリリカル&メルヘンチックにデコレーションされた乗り物──ジェットコースターだのメリーゴーランドだのコーヒーカップだの観覧車だりのに、ふたりでいろいろ乗ったこのは確かだな。 え? お化け屋敷か? 一応入ったぞ。もっとも、由理が恐がって、ずっと俺にしがみついたままだったから、アイツの身体の体温とかいい匂いだとかに気を取られて、俺は恐怖を感じる余地もなかったんだけどな。 あと……お互いのクレープをひと口ずつかじったり、トリプル盛りにしたアイスをつまづきかけて落っことした由理に、俺の分を食べさせてやったりしたのも、兄妹、もとい兄弟ならではのお約束だよな。 「──どう見てもバカップルです、本当にありがとうございました」? な……それくらい、仲の良い兄弟なら普通にやるだろ! 「それで、遊園地から帰った日の夜は!?」って? いや、別に何も……なに、も……。 * * * 「ふぅ……まいったなぁ」 午後10時過ぎ。居間のこたつで、(二十歳の誕生日はまだ2ヵ月程先なのに)貰い物のウィスキーをチビチビとロックで飲みながら、浩之は、今日の由理との"デート"でのことを思い出し、深い溜め息をついた。 楽しくなかったワケではない。むしろ、逆だ。今まで、どんな友人(女友達含む)と行ったどんな場所よりも楽しかったのだ。 それだけではない。 今日一日、由理のことを考えなかった時間はほぼないと言っていいくらい、彼の関心は"彼女"へと向かっていた。 (あ~、認めたくはないが、認めざるを得ないか……) 自分が、妹みたいな弟に夢中であることを──恋愛的な意味も含めて。 「どーしたもんかねぇ」 幸か不幸か、昨夜の"秘め事"を見る限りでは、「両想い」とも言えるのだが……。 しかし、ココで自分からそんな茨の道へ踏み込んでよいものだろうか? 由理のことを思えば、自分の気持ちをグッと堪えて、まともな道に引き戻してやるべきではないか? なにせ、相手は、「血を分けた肉親」かつ「同性」なのだ。せめてどちらかなら、彼も躊躇いを振りきれただろうが、そうするには流石に業が深すぎた。 「──ま、ココでうだうだ悩んでても、答えは出ねぇよな」 思い切って由理と腹を割って話しあってみるべきかと、グラスに残った酒を一気に飲み干して立ち上がる浩之。 思い立ったが吉日と、その足で2階に上がり、弟の部屋を訪ねる。アルコールのせいか、普段のより少々短絡的になっているようだが……。 「おーい、由理ぃ、ちょっと話したい、ことが……」 一度あることは二度あるとはよく言ったもので、彼の最愛の偽妹(おとうと)は、パールピンクのブラ&ショーツに太腿までの黒ストのみというあられもない格好で、ベッドの上にいた。 「──ふぇ? お、にぃ、ちゃん?」 しかも、左手で自らの右の乳首を摘みつつ、右手をショーツの中、それも前ではなく明らかに尻の方から忍び込ませ、"どこか"を弄って快感を得ているようで、トロンと蕩けた目で呆けたように、兄の顔を見返す。 ──プツン! あまりに唐突に度を超えて扇情的な場面に遭遇すると、人間、驚くとか慌てる以前に、自制心のタガとか枷とか言われるものが見事に破壊されるということを、浩之は己が身を持って知ることになる。 「由理ぃ!!」 由理が事情を完全に把握する前に、伝説のルパンダイブもかくやというすさまじい勢いで、浩之はドアから一足飛びにベッドの前に移動して、そのままの偽妹(おとうと)の華奢な肢体を抱きしめ、唇を奪う。 「ふぐッ! ……んん♪」 最初こそ目を見開いて身体を強張らせていたものの、すぐに目の前にいるのが兄の浩之であることに気付いたのか、途中からは"彼女"も積極的に唇を押しつけてくる。 「──ッはぁ……」 やがて、ふたり唇が一時離れ、唾液の糸が由理の口元から垂れ下がった。 「ん……おにぃちゃんのつば……」 それすらこぼすのがもったいないとでも言うように、赤い舌ペロリと唇を舐める様子を見て、浩之は我に返った。 「ご、こめん、由理! だが、あんまりお前かが可愛過ぎて、つい……って、言い訳だな、こりゃ。本当にすまなかった。許してくれ」 「ううん、大丈夫だよお……だって……ボクもお兄ちゃんのことが……大好きだから」 ! 立ち聞きなどで知ってはいたが、面と向かって言われると破壊力が段違いだ。 「ああ、俺も、由理が好きだよ」 浩之は由理を抱きしめる。小さくて可愛い、妹そのものな弟を。 「なぁ、由理(よしのり)……いや、ユリ。俺の恋人になりたいか?」 「う、うんっ。なりたい……なりたいよ!」 愛しい人のその返事を聞いて、浩之の覚悟が決まった。 「よし。じゃあ……恋人同士でする気持ちいいこと、しような」 浩之は、そのまま右手を下着姿の由理のお腹から下腹部、さらに両腿の間へと滑らせた。 そのまま、前面の"盛り上がり"にかすめるようにして、薄桃色のショーツを引き下ろす。 「きゃん!」 ショーツの中から現れた親指ほどの小さめの強張りの、わざと先を避けて根元近くを優しくしごく。たちまち、由理の牡芯は、ピンと尖ったその先端からヌルヌルとした液体を分泌し始めた。 「おお、すごいな、ユリ。お前のココ、まるで女の子のアソコみたいにビショビショに濡れてるぞ」 思わず、そんな言葉が口をついて出る。 「お、お兄ちゃん……恥ずかしいよぅ。それにちょっと痛いかも」 「ああ……悪い。ちょっとがっつき過ぎたな」 慌てて手を緩める。 「あはっ、でも、ボク嬉しい。お兄ちゃん、ホントにボクのこと、求めてくれてるんだ」 どんなに女の子の格好をしても、自分は本物の女の子じゃないから──由理が面と向かって浩之に想いを打ち明けなかった理由も、まさにそこにあった。 もし、"彼女"が本物の妹だったなら、血のつながりも気にすることなく、早々に兄のベッドに夜這いを仕掛けていたに違いない。 しかし、"彼女"は生物的には紛れもなく♂で、また、兄の性的嗜好が極めてノーマルなものであることも重々承知していた。故にその想いを胸に秘め(まぁ、時々自慰などで発散はしていたが)、一生打ち明けることはないと思っていたのだ。 それなのに、今こうして男の徴を前にしても、兄は怯むことなく自分のことを"ユリ"と呼び、愛してくれている。 「当り前だろ」 浩之は勃起している自らの分身を、スラックスの上からそっと由理に触れさせる。 「きゃっ! お、お兄ちゃんのオチンチン……カチカチになってるぅ」 悲鳴とは裏腹に、由理の目には嬉しそうな光が踊っていた。 それを見た浩之の中でも、心のどこかのスイッチが切り変わったような気がした。そう、誰よりも大切で、目の中に入れても痛くないほど可愛いと思っている、この大事な"妹"を、いぢめてやりたいというSっ気のようなものが、顔を出し始めたのだ。 「へぇ……いやらしい娘だな、ユリは。女の子なのにオチンチンだなんて平気で口にするなんて」 「あ……ご、ごめんなさいぃ……だって、お兄ちゃんに、女の子として見てもらってるって思ったら、なんだか頭がふわふわしちゃったの」 なんてコトを、愛する"少女"に夢見るような眼差しで言われてはたまらない。 浩之は無言でスラックスを下ろし、カチカチに勃起した自らの分身をトランクスから取り出し、剥き出しにした。 「あぁ……お兄ちゃんのオチンチンだぁ」 「ああ、ユリのせいでこんなに勃起しちゃったよ」 浩之はべッドに腰掛けて、由理にその次の行動を任せた。由理は、恐る恐るといった風情で浩之のペニスを触ってくる。拙い指使いだったが、最愛の"偽妹"に「して」もらえるというだけで、浩之の鼓動と興奮が加速する。 しかし、彼はさらなるステップに進むことを選んだ。 「ユリ……手の次は、どこで何すればいいか、分かるよな?」 無言のまま、コクンと頷くと、由理は浩之の両脚の間に脆く。 「フッ……じゃあ、エッチなユリに、俺のチ●ポの世話をお任せしようかな」 「はい、お兄ちゃん。ボクが責任をもって、お兄ちゃんの……ち、チンチンをお鎮めします」 恥ずかしそうにそう言うと、由理は□を開いて舌を突き出し、浩之のペニスの先端からゆっくりと舐め始めた。根元までたどり着いたところで、思い切って口の中に含む。 「ああ……いいぞ……ユリの口の中、熱くてヌルヌルで、すごくいい……クッ!」 年上ぶって余裕は見せてはいるものの、浩之とてさして性経験豊富なわけでもない。たちまち射精してしまいそうな快感に襲われ、慌てていったん離れさせる。 「ユリにばかりしてもらうのも悪いからな。恋人なら、お互いに気持よくさせないと。──というわけで、ユリのおっぱい、いじっちゃうぞ!」 「あっ! だ、ダメだよぉ……ああン!」 ゛ ブラジャーの下から手を差し入れ、勃起している小さな突起を探し出すと、浩之はソコを中心に指を這わせる。 「ふぁっ! お、お兄ちゃぁん……い……いいいよぉ! おっぱいぃ……気持ちいいよぉ」 オナニーなどで自分でも弄ってはいたのだろうが、他の人間(しかも最愛の兄)にソコを刺激された由理は、いつもとは段違いの快感に悶える。 そんな由理を見ているだけで、浩之の内に溜まった欲望も、徐々にヒートアップしていく。 (ああ、ユリ……こんなに可愛く感じるなんて……。最後の一線は越えないつもりだったけど、もー無理! 俺は、この子を犯す! 犯して、ユリを俺の女にしてやる!) 間もなく、ビクンと身体を強張らせ、男の徴を出すことなく軽くイッたらしい由理の頬に、浩之は優しく口づけした。 「あぁっ、お兄ちゃん……恥ずかしい……」 イッた所を見られて恥じらう由理の様子は、股間の突起を差し引いても、まるっきり女の子そのものだ。 「ははっ……ユリは可愛いなぁ」 浩之は微笑いながら、由理の胸のブラジャーを外し、思春期のホルモンバランスのせいか、ほのかに膨らみがあるように見える由理の胸を、両掌で撫でていく。 ゆっくりと円弧を描くような手の動きが、時折乳首に触れるたび、由理は身体をブルッと震わせた。 「おっぱいで、こんなに感じちゃうなんて……やっぱり、ユリは女の子になるほうが正解だよな」 「やぁ……やだ、言わないで……」 真っ赤になって顔を両手で覆って恥じらう由理。 しかし、浩之は、「追撃」の手を休めず、次の瞬間、由理の胸に唇を当てた! 「ひあぁぁぁッ!!」 "偽妹"の悲鳴を聞き流して、舌で丁寧に乳首をほじりながら、吸っていく。 「で、ユリはどうなんだ? 女の子になりたくないのか?」 「ひぁッ……う、うんっ……は、恥ずかしいけれどぉ、ボク……わたし、女の子になりたいッ! お兄ちゃん、ユリを女の子にしてッ!」 「了承! じゃあ……ユリのバージン、もらうよ」 浩之は由理のかわいらしいソコの先端からとめどなく溢れる液体を指先にすくいとり、白桃のようなみずみずしい尻丘の間の小さな蕾に、丁寧に塗りつけていく。 「やぁッ……そんな……こそばゆいよぉ」 「ちょっと我慢してくれ。キチンと準備しとかないと、痛い思いするのはユリだからな」 「ああっ……いい、ちょっとくらい痛くても、我慢する。お兄ちゃんに早くシてほしいの」 息も絶え絶えに懇願する由理の目をキチンと覗き込みながら、浩之は諭す。 「俺が、大事な大事なユリに、傷つけたくないんだ。初めての時が痛いだけなんて、嫌だろう?」 「……うん、わかった。お願いします、お兄ちゃん」 俺に任せると決めたせいか、余分な力が抜けた由理の足を浩之は持ち上げ……由理の蕾孔の入り口に浅く指を差し込んでは、軽く抜き差しして、広げていく。 「ユリのここ……綺麗な色してて、可愛いよ」 2本の指も飲み込めるようになったソコ、軽く息を吹きかける。 「ひゃっ! も、もぅ……恥ずかしいよお! お兄ちゃん、本当に、大丈夫だから、そろそろ……」 「オッケー、じゃあ……イクぞ」 浩之は由理にキスし、舌を"彼女"の舌と絡めながら、ゆっくりと己が分身を、由理の肛蕾へと侵入開始させる。 「ああっ……お、お兄ちゃんの……お、オチンチン……入ってる……入ってきてるよぉ!」 兄の雄の器官が、"偽妹"の秘部を、こじ開けていく。 ひと呼吸おいたのち、浩之は由理の小さな肩に手を置き……そして腰を一気に進めた! 小さな蕾が花びらへと開花し……ついに、浩之の分身は由理の体奥へと入っていた。 「はっ、はっ、はっ……ゆ、ユリ……は、入ったぞ……オマエの体内(なか)に」 「う、うん……わかるよ……お兄ちゃんが、ボクの胎内にいるのがわかる」 痛みか、あるいは悦びか、目尻から一筋の涙をながら、由理が問う。 「これで、ボク、本当に女の子に……お兄ちゃんの"恋人(おんな)"になれたんだよね?」 あまりにけなげで、かついとおしい"偽妹"の言葉に、浩之の中の愛と欲望がオーバーフローして、溢れだす。 「ああ、ああ、そうとも! お前は……ユリは、俺の、世界で一番大切な、妹で恋人だッ!」 「ぅあ……お、お兄ちゃんの、お、オチンチンが……ボクの中で、おっきくなってる……」 由理の声には、苦悶と歓喜が同時に宿っていた。 その証拠に、由理自身の股間の突起がピンと堅く立ち上がり、精一杯その存在を主張している。 「早速感じているんだな、ユリ……いやらしい子だ」 「ああっ、ダメ、見ないで……お兄ちゃん、ボクのソコ、見ないでぇ!」 軽蔑されると思ったのか、わずかにパニクる由理に、しかし浩之は優しくいいきかせる。 「だいじょうぶ、大事な大事なユリを嫌いになったりしないよ。いつもの礼儀正しくて甲斐甲斐しいユリも大好きだけど……俺の腕の中では、エッチでいやらしくて、俺のチンチンが感じまくっちゃう、雌猫みたいなオンナノコでいていいんだ。だって、ユリは俺の恋人だろう?」 「い、いーの? ホントにいいの? ボクいやらしいコになっちゃうけど、愛してくれる?」 「ああ、もちろん」 上目遣いになってすがりつく由理に微笑みかけながら……浩之はどこか怪しい目付きで言葉を続ける。 「だから、安心して、よがりまくろうな、ユリ」 ──ズンッ! 「あひぃンッ!!」 その言葉とともに、性急なテンポで体内に打ち込まれ始めた浩之のイチモツの刺激に、1オクターブ高い悲鳴をあげる由理。 しかし、一見、乱暴に見えてもしっかり愛する恋人(ひと)の身を考えているのか、逸物の先端は絶妙なスポットを断続的に刺激し、たちまち由理の悲鳴は艶っぽい嬌声へと変わる。 「お……お兄ちゃん……もっと……もっとシて!」 いつしか、その声はさらなる快楽を望む懇願へと変わっていた。 「ああ、やってやる……やってやるとも!」 じゅぶじゅぶと湿った粘膜同士が擦れ合う音と、浩之の腰が由理の尻にブツかるパンパンと小気味よい音、そして言葉にならない由理の喘ぎが、しばしの間、部屋を満たす。 急かされるように浩之はさらにピッチを速める。 由理は、浩之の欲望を、その華奢な身体で必死になって受け止め、受け入れていた。 「ユリ、苦しく……ないか?」 「んんっ……ちょ、ちょっと……痛いけれど……お兄ちゃんと……繋がってるって……思うと……どんどん……感じてきちゃうからへーき」 嗚呼、なんと可愛いコトを言ってくれるのか、愛しいこの子は。 ついに限界に達した浩之は、いよいよ由理の中に出すことにした。 「クッ………ユリぃ……ソロソロ、俺も……イッていいか? ユリの中で……イキたいんだ」 「い、いいよぉ…………お兄ちゃん、イッて……お兄ちゃんが出したモノ、ボクが胎内でぜんぶ、うけとめてあげるから」 愛する偽妹(おとうと)を、最愛の恋人(おんな)として、 思いっきり抱きしめ、犯し、貪り、感じさせる悦び。 ──ああ……それは、なんたる最高の快楽か! 「くっ……頼む! ユリ、中に出すぞ!」 ──どびゅッ! どぶどぶっ……びゅくっ! びゅっ! びゅっ!! びゅっ!!! 「あっ……熱ぅい……ホントに出てる……お兄ちゃんのせーえき、出てるぅ……あぁぁぁボクぅ……ボクぅ………こんなに出されたら、に、妊娠しちゃうよぉ……あっ、あっ、あっ、ぼ、ボクもイッちゃう……イツちゃうよおおっ!!」 * * * あ、いや、な、なんでもないぞ。 「顔色が悪い」? 「どこか具合でも悪いのか」って? あ~、うん、まぁ、何と言うか……未来と将来の具合が、ちょっとな。 (……やべぇ。 道理で、あの翌日から、由理が上機嫌かつ、俺にベタベタ甘えてくるはずだ。 いくら多少酔ってたとは言え、どーして今の今まで忘れてたんだ、俺? いや、酔いつぶれた挙句の夢オチという線も……) え? 「此処の払いはいいから、早く帰って寝ろ」? ──すまん、恩に着る。この埋め合わせは必ずするから! -4- 日下部雄馬がその手紙を受け取った時、彼の中学時代からのクサレ縁の悪友・安藤浩之が、住んでいた家から家族ごと何も言わずに姿を消してから、すでに半年近くの月日が経過していた。 『であ・まい・ふれんど すまん。バタバタしていて、すっかり連絡が遅くなった。 今は、N県の猪狩沢という場所で、ボチボチやってる。 よかったら、一度遊びに来てくれるとうれしい。 住所は……』 「あら、雄馬お兄様、そんなに慌てて、こんな早くからどちらへ行かれますの?」 普段は軽妙洒脱で温厚な義兄が、珍しく不機嫌さを全面に出した表情のまま、ボストンバッグ片手に玄関で靴を履いているのを見て、義妹の柚季は目を丸くした。 「ゆきか……すまないが、今日の午後、買い物につきあう話、あれ、明日の日曜にしてもらっていいか?」 いささか頭に血が昇っていた雄馬だが、義理の妹にして最愛の恋人たる少女と言葉を交わしたことで、彼女と昨晩夕飯の席でした約束をからくも思い出したようだ。 「ええ、それは構いませんけど……何か急用ですか?」 「ああ、まぁな──ちょっと、バカをぶん殴ってくる!」 * * * 「……で、その結果がコレかよ」 まさか、休日に家で昼飯食ってまったりしてたところにピンポンラッシュを受けて、てっきり近所の子供の悪戯だろうから叱ってやろう……と、ドアを開けた瞬間、久しぶりに会った親友にはったおされるとは思ってもみなかったぜ。 「やかましい! 人がどんだけ心配したと思ってんだ、まったく」 ギロリと恐い目でこちらを睨む、その親友様。 まぁ、それだけ俺達の身を案じていてくれたということだろうから、この一撃は甘んじて受けとこう。 「さぁ、キリキリ説明してもらおうか。なんで、お前さんたち、唐突にいなくなったんだよ。──やっぱ、ふたりの関係が近所にバレて、気まずくなったのか?」 「? 何の話だ?」 「いや、だってお前……以前、俺に由理くんとの関係(コト)について、悩んで相談もちかけてきただろうが」 あ~、そういや、あの頃、こいつにユリとのことで、相談というか愚痴聞いてもらったんだっけか。 「す、すまん。ぶっちゃけ、ソレとは全然関係ない。単なる俺の会社の都合で、こちらの営業所に空いた穴埋めるために転勤になっただけなんだわ」 このアパートも、会社が借り上げてくれた社宅みたいなモンだし。 「…………は?」 まぁ、確かに、電話とかで連絡しなかったのはこっちのミスだけどな。 「家電はともかく、ケータイもつながらなかったぞ?」 「あ、キャリア変えたとき、一緒に番号も変えたんだ。でも、会社に問い合わせてくれりゃあ、一発で転勤のことはわかったはずなんだけどな」 「前に、名刺渡しただろ?」と言うと、親友の雄馬はバツの悪そうな表情を浮かべた。 大方、仕事も辞めてどっかに逃避行に入ったとでも思いこんで、会社に電話することなんて思いつかなかったのだろう。コイツ、頭いいのに時々ヌケてるからなぁ。 「ん、んんっ……コホン。まぁ、それはともかく。無事にやってるなら何よりだ。それで、ヨシノリくんの方も元気なのか? 確か、この春中学卒業したはずだろ?」 あ~、そっか。コイツには例のコトも言ってなかったっけ。 「おーい、ユリ!」 「はい、浩之さん……もうお話はよろしいんですか?」 俺の呼び掛けに応えて、替えのお茶の入った湯呑が乗った丸盆を手に、居間に入って来た"少女"を見て、雄馬のヤツが恐縮してる。 「あ、すみません、お邪魔してます…………ぉぃ、恋人(かのじょ)が来てるんなら、そう言ってくれ。流石に俺も気を使ったのに」 後半部分をこっそり小声で言うあたり、ホントに女にはマメな奴だよなぁ。 「いや、恋人っつーか……嫁さんだし」 「嫁!?」 「あ、籍は入れてないから"内縁の妻"って言う方が正確か」 「妻!?」 面白い程素直に驚愕を示してくれる雄馬。いや、半分はネタと言うかワザとなんだろうけど。 「おいおい、そりゃあ日本の民法上は女は16歳になったら結婚できるとは言え、いつの間に、こんな美少女をたぶらか……んん?」 言いかけてふと眉を寄せている。 お、さすがに気付いたか。 「──もしかして……この子、ヨシノリくんか?」 「あはは、正解だ」 艶やかな黒髪を自然な感じにブロウして肩甲骨の上あたりでリボンでまとめ、軽くナチュラルメイクして優しく微笑むコイツのことは、知らない人が見たら(身内の欲目を抜きにしても)、まず間違いなく「16、7歳くらいの清楚な女の子」と見なすはずだ。 両肩が出るタイプのサーモンピンクのニットの長袖カットソーとダークレッドのデニムのミディスカートの上から、白に近いピンクのエプロンを着けたその姿は、やや年齢が若すぎる点を除けば、絵に描いたような「新妻スタイル」と言える。 ただ、雄馬の場合は、何度かまだ男の格好してた由理に会ったことがあるのと、俺が以前相談を持ちかけたことで気が付いたのだろう。 「はぁ……なるほど。ついに開き直ったんだな」 ガクリと肩を落とす親友に、少しだけ真剣な声色で尋ねる。 「──軽蔑したか?」 「いんや。第一、俺だって他人のコトを言えるほどご立派な身の上じゃないし」 ……ああ、そういやコイツ、親同士の再婚でできた義妹と恋仲になって、婚約してるんだっけ。 「そーだよなぁ。義理の妹の女子中学生押し倒した現場を親御さんに見られた揚句、なし崩し的に婚約したお前さんが、倫理云々は言えんよなぁ」 「フッ、甘いな。当時のアイツは、まだ1●歳だったぞ」 「ちょ、おま……それ犯罪!」 本人同士の合意があろうと、親の許可が得られようと、法律的に●学生とのセ●クスはマズいだろーが! 「HAHAHA! 過去にこだわるのは止めにしようぜ。それはともかく──要は、お前さんたちは、此処では事実上「夫婦」として暮らしてるんだな」 「ああ。ご近所に挨拶に行った時も、わざとそうだと誤解させるような言動をとったしな」 おままごとと笑われるかもしれないが、昔からの俺達のことを誰も知らない、この場所ならソレが可能だと思ったんだ。 「──いいんじゃないか。別段、誰に迷惑かけてるワケでもないんだし。式は……してないよな?」 流石にそこまでは、な。金銭的には内々のごくささやかな式くらいなら、できるだけの余裕はないでもないが、さすがに同性婚(しかも兄弟同士)を引き受けてくれる会場は、なかなかないし。 「そっちについては、心あたりがひとつある。で、ヨシノリ……いや、ユリちゃんはどうなんだい? やっぱウェディングドレスを着た花嫁さんって、「女の子」として憧れるんじゃないかな?」 さっき聞いたばかりなのに、早くも由理のことを「ユリ」という女の子として扱ってるあたり、こいつの頭の柔軟さはハンパないなぁ。 「え、その……は、はい。正直言うと、少しだけ」 エプロンの裾を弄ってもぢもぢとしながらも、控えめに素直な気持ちを吐露するユリ。いや、俺の方に上目遣いに投げて来る視線に籠った熱意は、断じて「少しだけ」ってモンじゃなかったけどな。 「お前さえよければ、俺のほうで手配つけてやるけど、どうする?」 雄馬がそう言ってくれたんで、俺も腹をくくった。 愛しい愛しい妻(おとうと)のささやかな願いくらい、叶えてやるのが夫(あに)の甲斐性だよな! * * * かくして、ふたりの兄弟にして夫婦たるカップルは、とある水無月末の吉日に華燭の典(というにはいささかささやかな規模だが)を挙げる運びとなる。 「まさか、ボクがお兄ちゃん……ううん、私が浩之さんと結婚式を挙げられる日が来るなんて」 控室で、純白のウエディングドレスを身に纏い、ほんのり幸せ色に頬を上気させたユリが、わずかに涙ぐみながらそんなコトを言う。 「あらあら、嬉し涙にしてもまだ少し早いですわよ。こんな素敵な方と結婚される殿方は幸せですね」 兄の縁でブライズメイドを務めることになった白いドレス姿の柚季が、優しく花嫁をなだめる。 「ユリさん、とってもキレイ……」 雄馬と柚季の妹である好実も、姉とお揃いのドレスを着て、いっしょにブライズメイドを務めるようだ。 「ぐす……ふふ、ありがと。柚季さんのような美人や、好実ちゃんみたいな可愛い子に、そう言ってもらえると、ちょっとだけ自信ができました」 ちなみに、この3人は、それぞれ1学年違い(ユリは高校に通っていないが)で、年が近いこともあってか、会ってすぐに打ち解けた。友人が少ない(というより現状ほぼ皆無な)ユリにとっては、貴重な「女友達」と言えるだろう。 「さぁ、時間ですよ」 形式上の仲人は雄馬たちの両親である日下部夫妻が担当している。つくづくこの一家には足を向けて寝られない……と、歳の割に大人びた感慨をユリが抱くのは、すでにいっぱしの"主婦"をしているからだろうか。 ふたりのブライズメイドを露払いに、父親の代役の日下部氏に付き添われて、小さなチャペル(じつは柚季や好実が通う学園の付属施設だ)のバージンロードを、しずしずと進むユリ。 祭壇の前には、アッシャーとベストマンを兼ねる雄馬と、本日の主役の片割れである新郎・浩之が、柄にもなく緊張した顔つきで佇んでいる。 「──新婦、安藤ユリ。貴方は、その健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 「誓います」 聖書の朗読から指輪の交換、結婚署名、結婚宣言に至るまで、つつがなく式典は進行する。 そして、わずか10人足らずとは言え観衆の見守るなかで、頭に被った薄絹のベールを上げて、浩之にキスされた時、これまでに、もっとスゴい(エロい)ことをベッドその他で色々されているにも関わらず、ユリはたとえようもない歓喜を感じた。 (嗚呼、私、これで本当にお兄ちゃんのお嫁さんになれたんだ……) たとえ日本の法律が何と言おうと、今日この日集まってくれたこの人々は、自分たちの仲を認め、祝福してくれる。 それだけで、ユリはこれから「私は、安藤浩之(おにいちゃん)の妻のユリです!」と、胸を張って言いきれる気がしていた。 「──お兄ちゃん」 チャペルの入り口から出るライスシャワーの直前、敢えて名前ではなくかつての呼び方で、良人(おっと)となった男性に呼び掛けるユリ。 「ん? なんだ?」 「幸せに、なろうね」 「ああ、もちろんだ」 互いの目を見つめ合い、満面の笑みを浮かべるふたり。 そして、幼妻(はなよめ)の投げたブーケが、六月の蒼い空に舞うのだった。 -おしまい-
https://w.atwiki.jp/sentai-kaijin/pages/1257.html
ドモン「一族揃って、犯罪者かよ!?」 【囚人No.】 不明 【名前】 ドゴールの双子の弟 レアル 【読み方】 どごーるのふたごのおとうと れある 【声】 服巻浩司 【登場作品】 未来戦隊タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ 【所属】 ロンダーズファミリー 【分類】 ロンダー囚人 【圧縮冷凍年数】 不明 【モチーフ】 シュモクザメ 【名前の由来】 レアル 【詳細】 悪徳金融業者ドゴールの双子の弟。 その姿はドゴールに酷似し、逮捕された彼の復讐の為、他の囚人の親族と共にタイムレンジャーの前に立ち塞がる。 呪士ピエールの闇の魔力によって強化し、タイムレンジャーを圧倒するが、ゴーゴーファイブの参戦によって形勢が逆転する。 しかし、殺人ボクサー・ボリバルが生じさせた時空の歪みにタイムレンジャーやゴーゴーファイブと共に飛ばされ、竜也とマトイをボリバルと共に原始時代で迎え撃つ。 時空の歪みの影響で変身できない2人を追い詰めるが、ブイレックスに歪みが修復された為、変身可能となったゴーレッドのVスラッシュに怯む。 現代に帰還後、タイムファイヤーとゴーゴーファイブにゼニットを一掃され、プレスリフレイザーを他の囚人の親族と共に受け圧縮冷凍された。 【余談】 彼自身はどのような犯罪で逮捕されたのかは不明となっている。 他の囚人の親族と共に名乗りを上げた際、ドモンから上記の台詞を突っ込まれる。 名前の由来はブラジルの現行通貨「レアル(real)」と思われる。 同作に登場する囚人の親族は本編登場の親族とほぼ同じ姿をし、名前の由来はドン・ドルネロ達と同様に世界の通貨や紙幣の名前となっている。 声を演じる服巻氏は特撮作品での出演は今作が初となる。
https://w.atwiki.jp/generation-crossrays/pages/268.html
ユーゴー(双子機/弟) 性能 COST EXP SIZE HP EN 攻 防 機 移 宇 空 地 水上 水中 防御 SFS 28400 570 M 13700 125 225 215 245 6 B - B - D ○ ○ 武装 名前 射程 威力 EN MP 属性 命中 CRI 武装効果 使用適性 対応適性 備考 宇 空 地 水上 水中 宇 空 地 水上 水中 バスターソード 1~2 3500 16 0 物理格闘 85% 5% ○ ○ ○ ○ ○ アンカー射出クロー 2~3 2500 14 0 物理格闘 80% 0% 移動力ダウン ○ ○ ○ ○ ○ 300mmロングライフル 2~5 3300 16 0 物理射撃 80% 0% ○ ○ ○ ○ ○ アビリティ 名前 効果 備考 ナノラミネートアーマー BEAM属性を持つ武装によるダメージを3500軽減する。 開発元 開発元 5 ユーゴー(JPTトラスト仕様) 5 ユーゴー 5 ユーゴー(双子機/兄) 6 ジルダ(一般機) 設計元 設計元A 設計元B 騎士スペリオルドラゴン ガナーザクウォーリア 開発先 開発先A 開発先B 開発先C 開発先D 2 ジルダ(一般機) 2 ユーゴー 2 ユーゴー(JPTトラスト仕様) 3 ユーゴー(双子機/兄) 備考 登場作品『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 「夜明けの地平線団」の幹部が乗るモビルスーツ。緑色の弟。 性能は兄と完全に同等。にもかかわらずCOSTが何故か安い。 開発元・先もサンドバル機と兄。